LATENS LAB
フォーム×スプレッドシート×Gmail×AIで、資料請求が届くまで1分以内。残った人の仕事は返信だけ
2026年10月22日(2026年10月27日 更新) / 読む目安 8分
この記事は、資料請求のメールをいまも手で送っている人に向けて書いています。営業・マーケの現場責任者の方です。情シス向けの「権限と監査」、経営者向けの「費用と期間」は、それぞれ節を分けて置いてあります。必要なところだけ読んでください。
やったのは株式会社Latensの自社サイトです。事例は1件(n=1)です。御社で同じ数字が出るとは限りません。最後に、自分の数字を入れて計算する式を置いておきます。
先に、動いたもの
2026年10月22日、本番のサイトで通しで試した結果です。
工程 | 結果 |
|---|---|
フォームから資料請求を送信 | 05:49(UTC) |
請求者本人に資料のメールが届く | 05:49(UTC・同じ分のうち) |
メール内の専用リンクを開く | PDF(1,827,357バイト)が返る |
「誰が・いつ・何回開いたか」の記録 | 同じ行に初回・最終・回数が入る |
人は1人も関わっていません。計測の方法は、送信した時刻と、届いたメールの Date ヘッダ、サーバーが返したファイルのバイト数です。

図1:送信から記録までの流れ。下段の右は、人の手に残っている仕事です。
前:気づくのが遅れて、数営業日
以前の手順です。語っているのは代表の細貝です。
- 問い合わせに気づく
- 資料のファイルを開いて、最新版かどうかを確かめる
- メールに添付する。相手によってはチャットアプリやGoogle Driveのリンクで送る
- 誰に送ったかをスプレッドシートに手で書く
いちばん効いていたのは、作業時間ではなく「気づくのが遅れること」でした。数営業日かかったこともあります。相手から見れば、資料が届くまで数営業日です。
作業そのものは1件あたり3〜5分、件数は多いときで月10〜20件。どちらも実測ではなく、細貝の感覚値です。ストップウォッチでは測っていません。送った相手の管理も手作業だったので、漏れもあったと思う、とのことでした。誰がいつ資料を開いたかは、分かりません。
後:人がやることは2つだけ
いま残っている人の仕事は2つです。
- 返信を読んで、送信ボタンを押す(下書きはAIが作ります)
- 「要確認」が付いた投稿を見て、本物かどうか判断する
資料を送る作業はありません。送り先を台帳に書く作業もありません。誰が開いたかは行に自動で入ります。
作ったもの:4つの部品
特別なものは使っていません。
部品 | 役割 |
|---|---|
Webフォーム(Next.js / Vercel) | 入力を受ける。外部のフォームサービスには投げない |
Google スプレッドシート+Apps Script | 1行追加する。これが「配信への同意の記録」になる |
Gmail(Apps Scriptから送信) | 社内への通知、本人への受付返信、資料の専用リンク |
AI(MCP経由でGmailに接続) | 通知メールを読んで、返信の下書きを作る |
資料のPDFは公開フォルダに置いていません。32文字のランダムなキーを請求した人ごとに発行し、そのキーが使われたときだけサーバーがPDFを返します。「誰がダウンロードしたか」を追えることが条件なので、記録が取れないときはPDFを渡さないという作りにしています。

図2:実際の列構成にもとづく図です。氏名・メール・キーはダミーに置き換えています。
迷惑投稿は、捨てずに止める
実際に、英語だけの怪しい問い合わせが届くようになりました。対策は入れましたが、捨てていません。
判定は3つだけです。
- フォームを開いてから送信までが3秒未満
- 本文にURLが2本以上
- 日本語のページから来たのに、名前にも本文にも日本語が1文字もない
当てはまると、行はそのまま残り、社内通知の件名に [要確認] が付き、自動返信も資料のリンクも送られません。
捨てない理由は単純です。本物の商談を1件落とす損失のほうが、迷惑投稿を数件読む手間より大きいからです。判定が付いたものを本物と見るかどうかは、人が決めます。
うまくいかなかったこと
ここが、同じことをやる人がいちばんつまずくところだと思います。
1. コードを貼っても、デプロイし直さないと反映されない
Apps Scriptは、保存しただけでは公開中のURLに反映されません。「デプロイを管理」→ 鉛筆 →「新バージョン」まで行って初めて変わります。私たちはここで4回空振りし、原因を「デプロイ先が違う」と誤診しました。本当の原因は、エディタに新しいコードが貼られていなかったことでした。外から叩いて挙動を確かめる前に、コードそのものを見るべきでした。
2. 立て込むと、成功しているのに失敗に見える
Apps Scriptは実行を1本ずつ順番に処理します。短い間に投稿が続くと順番待ちになり、こちらは9秒で打ち切る設定にしていたため、記録もメールも成功しているのにフォームはエラーを返しました。検証中に実際に起きています。実運用の頻度ならめったに起きませんが、起きると相手が二重に送信します。
この記事を書いている途中で直しました。打ち切りを20秒に延ばし、失敗したときは「送信できたか確認できませんでした。重ねて送らず連絡してください」と画面に出すようにしています。それまで、失敗したときは画面に何も出ていませんでした(送信ボタンが戻るだけ)。いちばん危なかったのはそこです。
3. 画像をAI経由で置き換えて、壊した
これは別の作業での話ですが、同じ教訓です。画像のような中身が人に読めないファイルを、AIに文字列として運ばせてはいけません。壊れても見た目では気づけません。
できないこと・やらないこと
- 返信の送信はAIがやりません。下書きまでです。初回接触の相手に、誰も読んでいない文章が飛ぶ事故が怖いからです
- 迷惑投稿かどうかをAIが断定しません。保留にして人に渡します
- AIはスプレッドシートを書き換えません。状態を2か所で持つと、必ず食い違います
- 資料の公開URLは配りません。誰が開いたか分からなくなるためです
- 同時に大量の投稿が来る前提の作りではありません。キャンペーンなどで一度に数十件が入る想定なら、受け口を別の作りにする必要があります
権限と監査(情シスの方へ)
項目 | 内容 |
|---|---|
AIに渡した権限 | Gmailの下書き作成と送信。ただし送信は使っていません。下書きまでで止めているのは権限ではなく運用上の決めごとで、送信ボタンは人が押します |
AIが触らないもの | スプレッドシート、サイトのコード、資料のPDF |
資料の置き場所 | 公開フォルダの外。専用キーがあり、かつ記録が取れたときだけ配信 |
記録される内容 | 受付日時・種別・氏名・会社名・メール・本文・同意の有無・言語・要確認の理由・初回/最終ダウンロード日時・回数 |
第三者への送信 | フォームの入力はブラウザから外部サービスへ直接は飛びません。サーバー間でのみ転送します |
誰のアカウントで動くか | 繋いだGmailアカウントの下書きに入ります。担当者が自分のアカウントを繋げば、その人の下書きに入ります |
合言葉が合わない投稿は受け付けません。URLを知られただけでは書き込めない作りです。
費用と期間(経営者の方へ・この節はそのまま転送できます)
- 外に払った開発費:0円。既に契約しているアカウント(Google Workspace、Vercel)の範囲で作りました。新しい有料サービスは増えていません。かかったのは代表自身の工数だけです
- 期間:数日。代表が片手間で作っています。「コツが分かっていれば1日でも行ける」(細貝)
- 削減できる人手(推計):月30分〜100分
- 算出式:月の資料請求 10〜20件 × 1件あたり3〜5分
- この2つの数字は実測ではなく、細貝の感覚値です
- 中央あたり(15件×4分)で月60分、年12時間
- 金額より大きいのは、待ち時間がなくなったこと。数営業日 → 1分以内。請求した人の熱が冷める前に資料が届きます
なお、「中小企業のサイトに月何件の問い合わせが届くか」を公的統計で探しましたが、方法論まで遡れる数字は見つけられませんでした。だから他社の平均値は使わず、自社の推計だけを出しています。御社の数字は、次の式に入れてください。
月あたりの削減時間 = 月の資料請求件数 × 1件あたりの所要時間
年あたり = それ × 12件数が少ないうちは、手で送るほうが速いかもしれません。編集部の見立てでは、効いてくるのは件数より「気づくのが遅れることが実際に起きているか」です。
これは何に繋がっているか
この仕組みでAIがGmailに繋がっているのは、LatensOSのコネクタです。どのサービスに、どの操作まで、どんな権限で繋げるのかは、Latens Lab のコネクタ一覧に実際の操作名と権限の範囲ごと載せています。この記事に出てくる「下書きまで。送信はしない」は、権限ではなく運用上の決めごとです。権限の層では送信もできます。その区別はGmailの権限で「下書きだけ」は作れないに詳しく書きました。
料金は、人数ぶんの基本料金と、AIが実際に操作した回数ぶんの従量料金を足した形です。読み取りだけの操作は0円、コネクタをいくつ繋いでも0円、初期費用も0円です。金額の水準と、段階ごとの単価はLatens OSの製品ページに出しています。
同じことを御社の業務でやるとどうなるかは、15分のデモでお見せします。資料請求はこちらからどうぞ。この記事の仕組みそのものが動いて、1分以内に資料が届きます。
計測の起点:2026年10月22日。この記事の数字は、特記のない限り当社サイトでの実測(n=1)です。感覚値・推計はその旨を明記しています。